社会福祉法人 岡山市手をつなぐ育成会



第51回 旭川荘障害医療福祉セミナー 

日 時:平成30年9月13日(木)9:30~16:30、平成30年9月14日(金)9:00~16:00

場 所:ピュアリティまきび

広瀬町仲よし(地域サポートセンター仲よし)

≪研修内容≫

【1日目】

講義1 「障害医療福祉の新たな地平~インクルーシブ社会を目指して~」

講師:旭川荘 理事長 末光茂 氏

講義2 「障害福祉制度の動向」

講師:旭川荘 副理事長 仁木壮 氏

講義3 「意思決定支援と合理的配慮について」

講師:上智大学 教授 大塚晃 氏

LIVE  「ポエトリーリーディング」

生活介護事業所 ぬかつくるとこ 戸田雅夫 氏

【2日目】

講義4 「知的障害のある方の行動上の課題に対するアセスメントと支援システム」

講師:鳥取大学 教授 井上雅彦 氏

講義5 「合理的配慮としてのコミュニケーション支援」

講師:前京都市児童福祉センター 副院長(児童精神科医) 門眞一郎 氏

シンポジウム 「障害がある方の芸術文化活動の魅力と未来」

     コーデイネーター:鳥取大学 教授 川井田祥子 氏

     シンポジスト1:厚生労働省 障害者文化活動支援専門員 大塚千枝 氏

シンポジスト2:NPO法人ひゅーるぽん スタッフ 鰐川華衣 氏

シンポジスト3:ももぞの福祉園 生活支援員 池田恵里 氏

シンポジスト4:生活介護事業所 ぬかつくるとこ スタッフ 丹上和臣 氏

 

≪研修報告・感想≫

デンマークでは、障害者に対して、すべての人がもつ通常の生活を送る権利を可能な限り保障することを目標として社会福祉をすすめる、いわゆるノーマリゼーションはあまり普及せず、その延長線上にあるインクルージョンが浸透しているそうです。インクルージョンとは「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策をあらわします。「インクルーシブ」という言葉を理解するためには、その反対の言葉を知ることが重要です。「インクルーシブ」の反対は、「一部の人を外へ追い出す」「のけものにする」ということになります。障害のない人が「障害者とどう接していいのかわからない」というのも、排除の結果です。インクルーシブ社会を目指す方向性こそが医療福祉の原点だと訴えられました。バリアフリーにより障壁が無くなれば、障害は無くなるというお話を聴き、個々の障害者への合理的配慮の必要性を強く感じました。

合理的配慮としてのコミュニケーション支援のうち、特に自閉症スペクトラム障害の支援では、音声によるコミュニケーションに制約が大きいことから、補助代替コミュニケーション支援が欠かせないと話され、表出コミュニケーション支援には絵カード交換式コミュニケーション・システム等の視覚的支援が有効だと紹介されました。意思決定支援と合理的配慮の観点から、補助代替コミュニケーション支援は重要で、どのようなコミュニケーション手段を用いるかは本人に選択してもらい、その選択に応じることが大切とのことです。自閉症スペクトラムの人に、補助代替コミュニケーション手段を使わせないことは、障害者差別解消法により心理的虐待となると警告があったことに注意が必要です。

知的障害がある方の行動上の課題に関するアセスメントと支援システムについては、強度行動障害の方の話が中心でした。強度行動障害の方は、障害特性に環境因子が強く加わり、「分からない」「伝わらない」の積み重ねが人や場に対する嫌悪感や不信感に繋がるとのことでした。有効なアプローチである環境調整や機能分析を活用するためにも定期的な記録方法の確立が大切であると感じました。

障害福祉制度の動向では、「地域共生社会」の実現に向けてのお話を聴くことができました。これは、個人や世帯の抱える複合的課題などに対して、包括的な支援や分野をまたがる総合的サービス提供の支援を目指すものです。制度・分野ごとの「縦割り」や「受けて」「支え手」という関係を超えて、社会の公的支援の仕組みを「我が事」「丸ごと」へ転換させるということでした。こうした地域共生社会が実現すれば、子供は高齢者などと日常的に関わり合いながら暮らすことで健全に成長し、高齢者は子育て支援などで役割を持つことで予防に効果があり、障害者は活躍する場を持つことが自立・自己実現に繋がるなど、それぞれにとって好循環を生み出すことが期待されます。また、シンポジウムでは「障害がある方の芸術文化活動の魅力と未来」と題して、シンポジストの4名の方から実践発表や意見交換を聴くことができました。ももぞの福祉園さんの発表の中で、①作品は作家さんの思いの塊 ②職員は黒子 ③唯一無二の尊い時間 という言葉がとても印象に残りました。黒子である支援者は、環境を整え、画材の提供をするだけで指導はしないと言われていました。それでも、温かい穏やかな様子が想像でき、描きたくなったら自分のタイミングで描き始められる環境が芸術作品を生み出しているのだと感じました。「ぬかつくるとこ」の発表では、みんなとにかく「楽しんでいるなあ」というのが感想です。支援者は利用者さんの特性や特徴をよく知っていて、その強みを生かしてスターにしてしまいます。

いい意味でおもしろいやり方だと思いました。会場で自作の詩を朗読された“戸田雅夫氏”も「ぬかつくるとこ」の利用者さんです。NPO法人「ひゅーるぽん」の「アートサポートセンターひゅるる」では、地元の舞台制作団体と協働し、障害のある人だけでなく、演劇に興味のある人や経験者で演劇作品を創り上げておられました。一つの舞台を作るという同じ目標を持ち取り組むことで、一人の人として高め合う場を目指したそうです。芸術表現がもたらすものとして、①自己表現:コミュニケーションの一つの手段 ②多様な選択肢の中から自分で自由に選んでいいと思えるセルフ・エスティーム(自尊心) ③周囲の人々の視点を変えるきっかけ(リフレーミング:ある枠組みで捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ること)が可能になります。身近な自己表現が芸術であり、日々の行動がアートであり、実は幅が広いということが分かりました。私は、地域活動支援センターⅠ型の業務に従事していますが、創作的活動や生産活動の機会を提供するだけで利用者さんの満足感や達成感ばかり気にしていました。今やっていることにどういう意味があるのか、何にどうつながっていくのか、客観的に俯瞰する視点が欠けていたと思います。私自身の感性を磨き、利用者さんが楽しく自己表現できる場を提供していきたいと思いました。

 

 

 

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