自閉症啓発セミナー | 社会福祉法人 岡山市手をつなぐ育成会

社会福祉法人 岡山市手をつなぐ育成会



自閉症啓発セミナー

地域サポートセンター仲よし

【テーマ】
配慮が必要な子どもたち・青年たち 大人になるための支援
~自閉症、被害者にも加害者にもならないために~
【講師】
小栗正幸 先生(特別支援教育ネット 代表、元 宮川医療少年院 院長)

【内容】
この度、発達障がいなど特性のある方が被害者にも加害者にもならないために、どのような支援が必要かについて、特別支援教育ネット代表の小栗先生から話を聞きました。小栗先生はもともと心理学(実験心理学)を専攻し、そこから少年院の院長として働いた経験から、現在は発達障がい者の支援などもしておられます。どのような発達の課題から反社会的な行動に結び付きやすいか、また、関わり方の具体例について教えてもらいました。
まずはじめに、人としての社会的成熟に必要な課題として、どのような課題があるのかという話がありました。「仲良し課題」や「勝ち負け課題」などいくつかある中で、「こだわり課題」というものが印象的でした。こだわりには特徴があり、大した理由はないが、「こだわる(決めつける)」ことへの執着だけがやたらと強いということです。また「就労の課題」もあり、就労支援は仕事の大切さや対人関係のスキル向上、必要な技術を教えることなどありますが、もっと大切なことは仕事の本質、すなわち“収入”を前提にする活動であるという事実を教えることだと言われました。仕事は快・不快があるから収入を得られること、お金を払うことともらうことの関係などを理解していない人は離職率が高まると言われます。例えば「嫌なことを言われたから辞める」という人がいますが、収入はそのための対価であるという認識が欠けていると、仕事を辞めやすくなってしまいます。
 学齢期のひきこもりや不登校の問題は“きっかけと”と“原因”が異なる場合が多く、それを取り違うと、対応を間違うことになります。友達から言われた一言が不登校のきっかけだとしても、原因は「仲良し課題」や「勝ち負け課題」という場合があります。そこの原因を理解しないまま対応すると、不登校が長引く可能性があります。また、登校刺激を避けるために、休ませるという方法をとることがありますが、小栗先生は登校刺激を避けるとしても3ヶ月が限界で、ある程度の登校刺激は必要であると言われていました。刺激を避けて本人の居場所を確保することは、その居場所だけでしか過ごせないようになってしまう危険もはらんでいます。稀にイベントの時など、不登校の子が学校へ出てくることがあります。しかし、その時に必要以上に気をつかった対応(例:「すごいね!」「来てくれてありがとう」など伝える)をしてしまうと、子どもは息苦しく感じ、再び不登校となってしまいます。不登校の子には日常の小さく達成可能な課題(例:「そこのゴミをひろってください」など)を提示して、出来たらお礼を伝える、など日常場面で活用できる支援方法を学びました。「ありがとう」にたどり着けるような課題を設定し、それを繰り返すことで自信がついていきます。それは褒められる練習にもつながります。
 次に非行の対応について話を聞きました。非行や犯罪行為は理由があったらやっても良いことではないため、まずは犯罪行為であることを伝えたうえで、それを再度行ってしまう未来と行わない未来について伝えることが必要です。犯罪行為をした後の対応として、反省を促すことがありますが、反省を促すことで再犯防止につながるという事実は確認されていないというのが現実です。犯罪に対して反省指導や応用行動分析、カウンセリングなどあらゆるものを試しても効果は得られていません。ただ、アメリカの研究で「就労すること」は唯一、再犯防止につながるという研究結果があるそうです。
 家庭内暴力の課題についても話を聞きました。家庭内暴力は家庭内という特別な空間(家庭=社会ではない)、つまり限定的な場所での暴力とされます。そのため、限局性暴力のマネジメントをすることが大切です。家庭内暴力の特徴として、加害者は「暴れたくない」と思い、被害者も「暴れてほしくない」と思います。お互いの希望が一致しているため、介入の可能性があります。限局性暴力のマネジメントは避難と強行介入について行動契約を結んでおくことです。事前に暴力が起こった時の対応について、加害者も被害者も参加した会議で共有しておきます。暴力を受けた人の避難場所を決めておき、実際に暴力が発生したら、ただちに避難すること、その後の沈静化した後に連絡と迎えに行く手段も合わせて決めておきます。また、警告しても暴力が続く場合は、警察に連絡することも会議で決めておきます。この場合、生活安全課の人に会議に参加してもらうことも重要です。時々、暴力を避けるために、学校側が入院するなど医療に頼ることがあります。入院は行動契約の再設定などする時に“しきり直し”としては有効ですが、暴力に対しての行動変容は求められません。
 この度、心理学の観点から発達課題や不登校や非行・犯罪などに対する支援について学びました。発達障がい者への理解や日常における支援など具体的な話を聞くことが出来ました。最後に、小栗先生は成熟した社会ではアスペルガー障がいか注意欠陥多動性障がい、またはその混在型の3つに分類されると言われました。障がいがあり、そこに配慮や介入が必要になりますが、発達過程において、障がいがなくても躓くことがある人は多いように感じました。
 日常的に活用できる具体的な支援方法を学んだので、自分も実践できるようにしていきたいです。

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